2009年度東海・東海第二発電所からのお知らせ
東海第二発電所 残留熱除去系(A)の低圧注水系注入弁開閉試験中の不具合について
東海第二発電所(沸騰水型軽水炉、定格電気出力110万キロワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、8月24日(月)、残留熱除去系*1(A)の定期試験の一環である低圧注水系注入弁*2(電動弁)の開閉試験が弁前後の圧力を均等にすることができなかったことから実施できませんでした。
そのため、保安規定に定める低圧注水系(A)の機能が健全であることが確認できないと判断し、同日12時02分に運転上の制限*3からの逸脱を宣言しました。
注入弁前後の圧力を均等にすることができなかった原因は、原子炉圧力容器と注入弁の間にある逆止弁*4等のシート面に微小な異物の挟まり、又は一時的な弁シートの不良により、その隙間から微小な漏えいが発生しているものと推定されました。
このため、逆止弁等の開閉動作を行った後、再度注入弁前後の圧力を均等にする操作を実施したところ、圧力が抜け、均等となりました。
圧力を均等にできた理由は、逆止弁等のシート面に挟まっていた異物が極めて小さなもので、今回の操作によって流出したものか、一時的な弁シート不良と考えられます。 これにより注入弁の動作確認を行うことが可能となり、残留熱除去系(A)の機能試験を実施した結果、健全であることが確認できたため、8月25日(火)0時12分に運転上の制限の逸脱状態を解除しました。
なお、この事象による外部への放射性物質の放出はなく、環境への影響はありません。
この情報は、原子力施設情報公開ライブラリーNUCIA(ニューシア)に登録しましたのでご覧ください。
- ※1
- 残留熱除去系
冷却材喪失事故時の原子炉への注水として使用する原子炉停止後の燃料の崩壊熱を除去するための系統。原子炉停止時冷却系の他、圧力抑制室プール水冷却、格納容器冷却なども行う。 - ※2
- 低圧注水系注入弁
原子炉冷却材の大量喪失で原子炉圧力が低くなった場合に、圧力抑制プール水を原子炉へ補給するための弁であり、この弁を「開」にするためには弁前後の圧力差が大きくないことのインターロックが設けられている。 - ※3
- 運転上の制限
保安規定で定める運転上の制限とは、この範囲内で運転していれば十分に安全を確保できる設備の機能的能力又は性能水準を示したものである。運転上の制限を満足していない状態(運転上の制限を逸脱)になったというだけで直ちに安全上の重大な問題を生じていることを意味するものではない。 - ※4
- 逆止弁
通常の流れ方向に逆らった流れを止めるための弁
(2009年8月25日記載)
(2009年9月 2日更新)
このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報※)等を掲載しています。
- ※
- 保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。