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事業概要Outline of business

(2024年3月31日現在)

事業の経過及びその成果 

2023年度の我が国の原子力産業界においては、GXに係る議論が進捗し廃炉を決定した原子力発電所敷地内での次世代革新炉への建替えの具体化や高経年化した原子炉に対する規制の厳格化等、安全確保を大前提とした原子力発電の活用が明確化されるとともに原子力事業に係る環境整備の具体化の検討も進められています。加えて、エネルギー価格や物価の上昇の中で経済性の観点からも原子力発電の総合的な価値が改めて評価されています。


このような状況の中、当社の既設発電所はすべて停止しているため原子力専業の電気事業者である当社の経営環境は依然として厳しい状況にあり、原子力事業を取り巻く環境の変化を見極めつつ当年度においても引き続き事業基盤や経営基盤の充実・強化等、経営改革の取組みを進めてまいりました。


当年度の収支につきましては、電気事業営業収益950億8百万円、これに財務収益等3億63百万円を加え、経常収益合計は953億71百万円となり、支出面では、業務各般にわたる徹底した合理化、効率化の推進による諸経費の縮減に努めました結果、経常費用合計は934億83百万円となりました。以上により、経常利益は、18億88百万円となり、特別利益及び特別損益の計上及び法人税等控除後の当期純利益は24億65百万円となりました。


当社は安全第一を事業運営の礎とした上で、既設発電所の稼働を目指し東海第二発電所の安全性向上対策工事を着実に進めるとともに、新規制基準適合性に係る同発電所の特定重大事故等対処施設の審査及び敦賀発電所2号機の審査への対応を進めてまいりました。さらに廃止措置事業、福島第一原子力発電所廃炉協力においても成果を挙げてまいりました。


まず既設発電所の稼働に向けた取組み及び運営につきましては、受電会社の資金的協力の下、東海第二発電所の安全性向上対策工事を進めております。本工事のうち防潮堤設置工事において地中連続壁部の壁面の一部にコンクリートの未充填及び鉄筋の変形を確認したことを受け本事象について調査を実施し、その結果を踏まえた補強方法を策定した上で対応を進めております。特定重大事故等対処施設につきましては、設計及び工事計画の変更認可申請を4回に分割して申請し第1回目から第3回目までの申請についての認可を取得いたしました。設計及び工事計画認可申請に係る審査に適切に対応するとともに工事を着実に進めてまいります。
茨城県や東海村を始めとする各自治体に対しては、原子力所在地域首長懇談会を構成する6市村による発電所の現場視察等を通じて安全性向上対策工事に係る状況説明を行うとともに、茨城県による独自の安全性検証及び避難計画の実効性の検証に向けた放射性物質の拡散シミュレーションへの対応を実施いたしました。また、各自治体の避難計画の策定に向けた事業者としての対応や避難退域時検査に関する研修等を自主的に実施しております。当年度は新たに東海村及び日立市において避難計画が策定され、計画策定予定の14市町村のうち策定を公表した自治体は計7市町村となりました。さらに、地域の皆様にご理解いただくため東海村を含むPAZ圏(発電所から概ね半径5km圏)の全戸を対象とした訪問対話活動等の取組みを鋭意進めております。また、2021年3月の水戸地方裁判所における東海第二発電所の運転差止請求を認容する判決につきましては、控訴審において取り消していただけるよう全力を尽くしております。


敦賀発電所2号機の敷地内破砕帯の審査につきましては、審査資料の誤りを巡る経緯を踏まえ原子力規制委員会から設置変更許可申請の一部補正を求める指導を受けました。当社は社内体制強化及び設置変更許可申請書の品質確保に取り組み、昨年8月に設置変更許可申請の一部補正を行いました。補正書提出を受けて昨年9月の原子力規制委員会で審査を再開することが了承され、その後審査会合や現地調査等への対応を進めてまいりました。電力会社等からの更なる支援、協力を得ながら今後の審査に真摯に対応してまいります。


当社は、発電所における安全性向上対策工事や原子力防災対策の更なる強化に取り組むとともに、これらの取組みを地域の皆様を始めとする関係者の方々にご理解いただき信頼関係を一層強化するための諸活動を積極的に推進してまいりました。


また、原子力の安全確保に関するリスクマネジメントや安全文化の継続的改善等の原子力の自主的かつ継続的な安全性向上への取組みを経営トップのコミットメントの下で推進し、改善してまいりました。


敦賀発電所3,4号機につきましては、GX実現に向けた基本方針においてエネルギー基本計画を踏まえて原子力を活用していくため、原子力の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組むとされていることを踏まえ、国のエネルギー政策や安全規制の動向を注視しながら、より一層安全性の高いプラントの実現を目指し検討を進めております。


福島第一原子力発電所廃炉への協力につきましては、我が国の原子力発電を今後も推進していくため福島第一原子力発電所の安定化が重要との認識の下、積極的に協力してまいりました。


東海発電所の廃止措置につきましては、原子炉領域の安全貯蔵に加え熱交換器本体等の原子炉領域以外の解体撤去工事を継続している中、当年度におきましては各建屋附帯設備等解体撤去工事のうち屋外機器撤去工事を実施いたしました。原子炉領域解体工事につきましては、当該工事に伴い発生する放射性廃棄物を収納する容器の仕様等の決定に時間を要することから、昨年12月に工程を見直しました。また、東海発電所から発生する低レベル放射性廃棄物のうち放射能レベルが極めて低いもの(L3)の埋設施設の設置に係る第二種廃棄物埋設事業許可取得のための審査に対し、的確に対応いたしました。敦賀発電所1号機の廃止措置につきましては、解体工事を継続しており、当年度におきましては液体毒物(ほう酸水)注入系解体工事を実施いたしました。また、これまでの廃止措置において培ってきた経験を活かし他社プラントの廃止措置に向けた技術支援を実施するとともに、福井県の嶺南Eコースト計画における原子力リサイクルビジネス等に積極的に協力しております。さらに、米国エナジーソリューションズ社の廃止措置ノウハウの活用と同社との連携を視野に入れた将来の事業化について検討を進めております。


原子力緊急事態支援組織につきましては、夜間休祭日も含めて出動態勢を維持するとともに、協定事業者の原子力防災要員に対する操作訓練等を継続して実施しております。また、国主催の原子力総合防災訓練において自衛隊及び事業者と連携し、海上自衛隊輸送艦へ大型重機運搬車を搭載する訓練を実施いたしました。


リサイクル燃料貯蔵株式会社が青森県むつ市で実施しております使用済燃料の中間貯蔵事業につきましては、2024年度の事業開始に向け同社により対応が進められており、当社は支援を行っております。


原子燃料サイクルにつきましては、日本原燃株式会社が使用済燃料再処理・廃炉推進機構から受託して進める再処理等の事業について同社により新規制基準適合性審査への対応が進められており、当社は電力各社と協調して協力を継続しております。高速炉の開発につきましては、電力各社と共に日本原子力研究開発機構が実施している高速炉サイクルの実用化に向けた研究開発への協力を進めてまいりました。また、廃止措置が進められている高速増殖原型炉「もんじゅ」についての協力を電力各社と共に実施しております。


 

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