事業概要Outline of business
事業の経過及びその成果
我が国においては、原子力発電の特長である優れた安定供給性、国内の高い技術自給率等の観点から、安全性の確保を大前提として必要な規模で原子力発電を持続的に活用する政府方針が示され、投資環境の整備に向けた検討も進められています。
このような状況の中、当社の既設発電所はすべて停止しており当社の経営環境は依然として厳しい状況にあるものの、既設発電所の稼働に向けた取組みを着実に進めるとともに原子力事業を取り巻く環境の変化を見極めつつ、当年度においても引き続き事業基盤や経営基盤を強化してまいりました。
当年度の収支につきましては、電気事業営業収益1,155億6百万円、これに財務収益等4億64百万円を加え、経常収益合計は1,159億71百万円となり、支出面では、業務各般にわたる徹底した合理化、効率化の推進による諸経費の縮減に努めました結果、経常費用合計は1,132億73百万円となりました。以上により、経常利益は26億97百万円となり、法人税等反映後の当期純利益は30億51百万円となりました。
当社は東海第二発電所の安全性向上対策工事を着実に進めるとともに、敦賀発電所2号機の追加調査を開始し、設置変更許可の再申請に当たり重要となるデータの取得や評価に取り組んでまいりました。さらに廃止措置事業、福島第一原子力発電所廃炉協力、福井県の嶺南Eコースト計画における原子力リサイクルビジネスへの協力についても適切に対応してまいりました。
これらの対応においては、安全第一を事業運営の礎とした上で原子力の自主的かつ継続的な安全性向上への取組みを経営トップのコミットメントの下で進めるとともに、地域の皆様を始めとする関係者の方々にご理解いただき信頼関係を一層強化するための諸活動についても積極的に推進してまいりました。
東海第二発電所につきましては、受電会社の資金的協力の下、安全性向上対策工事を進めております。本工事のうち防潮堤設置工事において地中連続壁部の壁面の一部にコンクリートの未充填及び鉄筋の変形が確認されたことを踏まえ、防潮堤の構造の変更に係る設計及び工事計画の変更認可申請について現在原子力規制委員会の審査を受けております。また、東海第二発電所において2022年度以降火災が複数回発生したこと、昨年2月に中央制御室内で火災が発生したこと等を重く受け止め、外部の専門家からのご意見を踏まえて取りまとめた再発防止対策を確実に遂行しております。引き続き組織力の向上と安全文化の改善により安全管理を徹底してまいります。
茨城県や東海村を始めとする各自治体に対しては、原子力所在地域首長懇談会を構成する6市村による発電所の工事現場確認等を通じて安全性向上対策工事に係る状況説明を行うとともに、自治体の避難計画の公表に向けた事業者としての対応や避難退域時検査に関する訓練等を継続的に実施してまいりました。当年度は新たに高萩市において避難計画が公表され、計画公表対象の14市町村のうち公表した自治体は計9市町村となりました。さらに、地域の皆様にご理解いただくため、対話形式による東海第二発電所の状況説明会及び東海村を含むPAZ圏(発電所から概ね半径5km圏)の全戸を対象とした訪問対話活動等を実施いたしました。また、2021年3月の水戸地方裁判所における東海第二発電所の運転差止請求を認容する判決につきましては、控訴審において取り消していただけるよう全力を尽くしております。
このほか、化石燃料を用いた電源からカーボンニュートラル実現のための電源に切り替え2050年までにカーボンニュートラルや電力の安定供給の実現を目指す制度である長期脱炭素電源オークションにおいて、昨年4月に東海第二発電所が落札いたしました。
敦賀発電所2号機につきましては、2024年11月の原子力規制委員会において当社の設置変更許可申請に対して許可をしないことが決定されたことを踏まえ、設置変更許可の再申請に必要な追加調査の内容について社外の専門家の意見も踏まえて取りまとめ、昨年9月より追加調査を開始しております。追加調査では、まずは再申請に当たって重要となるK断層に関する調査及びその他の破砕帯に関する調査、評価等を2年程度かけて実施いたします。この調査により取得したデータの分析・評価結果を踏まえ、再申請に向けて更に必要な調査や従前の評価を補強するためのデータ取得等を進める予定です。
敦賀発電所3,4号機につきましては革新軽水炉を含む次世代革新炉への建替えの具体化を進めていくとされた第7次エネルギー基本計画や、原子力規制委員会と事業者の間の建替原子炉に関する技術要件の議論の状況等を踏まえ、国のエネルギー政策や安全規制の動向を注視しながら、敦賀発電所3,4号機についてより一層安全性の高いプラントの実現を目指し検討を進めております。
福島第一原子力発電所廃炉への協力につきましては、我が国の原子力発電を今後も利用していくため福島第一原子力発電所の安定化が重要との認識の下、積極的に協力しております。
東海発電所の廃止措置につきましては、原子炉領域の安全貯蔵に加え熱交換器本体等の原子炉領域以外の解体撤去工事を継続している中、当年度は維持管理設備の縮小や早期解体に向けた合理的な解体シナリオを検討しております。東海発電所から発生する低レベル放射性廃棄物のうち放射能レベルが極めて低いもの(L3)の埋設施設の設置に係る第二種廃棄物埋設事業許可取得のための審査に対し、的確に対応いたしました。敦賀発電所1号機の廃止措置につきましては、解体廃棄物の保管予定エリアにある大型機器の解体に時間を要することから原子炉本体等の解体着手を延期することとし、廃止措置完了時期を2040年度から2047年度に変更いたしました。当年度は解体工事を継続しており、建屋内廃棄物移送ルート等の確保に伴う機器解体工事、軽油貯蔵タンク他解体工事を実施しております。また、クリアランス対象物に係る放射能濃度の測定及び評価方法の認可申請につきましては、本年3月に認可されました。他社プラントの廃止措置につきましては、これまでの廃止措置において培ってきた経験を活かし技術支援を実施してまいりました。また、福井県の嶺南Eコースト計画における原子力リサイクルビジネスを推進するために設立された「福井県原子力リサイクルビジネス準備株式会社」への出資や人員派遣を行っており、今後も当社社有地の提供等を通じて具体的かつ積極的に参画・協力してまいります。なお、本計画は本年4月に実施された日仏首脳会談における「原子力エネルギー協力に関する日仏共同声明」の中で取り上げられており、国際的な原子力協力強化の観点からも重要な取組みとして位置付けられています。
原子力緊急事態支援組織につきましては、夜間休祭日も含めて出動態勢を維持するとともに、協定事業者の原子力防災要員に対する操作訓練等を継続して実施しております。また、国主催の原子力総合防災訓練において自衛隊及び事業者と連携し、支援資機材の搬送・操作訓練を実施いたしました。
リサイクル燃料貯蔵株式会社が青森県むつ市で実施しております使用済燃料の中間貯蔵事業につきましては、2024年11月に同社のリサイクル燃料備蓄センターが事業開始となりました。当社としては、同社が安全を最優先に事業を進められるよう引き続き支援を行うとともに、計画的な使用済燃料の搬出に向けた準備を進めております。
原子燃料サイクルにつきましては、日本原燃株式会社が使用済燃料再処理・廃炉推進機構から受託して進める再処理等の事業について同社により新規制基準適合性審査への対応が進められており、当社は電力各社と協調して協力を継続しております。高速炉サイクル開発につきましては、高速炉実証炉等の研究開発を統括するため日本原子力研究開発機構に設置された「高速炉サイクルプロジェクト推進室」へ人員を派遣するとともに、電気事業者としての協力を実施しております。








