2009年度敦賀発電所からのお知らせ
敦賀発電所1号機
フィルタースラッジ貯蔵タンク室内での漏えいの原因と対策について
【概要】
定期検査中の敦賀1号機において、5月23日、旧廃棄物処理建屋地下1階のフィルタースラッジ貯蔵タンク※1室内で、漏えい検知する警報が発報しました。現場確認の結果、タンク室内の床一面で、深さ約2.5cmの水溜りを確認しました。溜っていた水の量は約0.7m3と推定され、放射能量は約6.0×104Bqで、水は床面にある排水口から地下一階にある床ドレンサンプに自然回収され、周辺環境への影響はありませんでした。
水溜りが発生した原因は、機器洗浄用に溜めていた"ろ過水(約1.1m3:放射能を含まない)"に濁りが認められたため、同建屋2階床面の排水口から廃棄(排水)しました。この排水がタンク室床面の排水口を利用して床ドレンサンプに流れ込む際、タンク室の排水口に詰まりが生じたため床面に溜ったものと推定しました。詰まりの原因は、排水管の一部で発生していた配管の腐食物が、大量の排水等で流され、排水口下部のU字シール部に詰まったものと推定しました。
対策として、2階床面の排水口は、直接床ドレンサンプに導く経路に変更すると共に、タンク室内を通っていた排水管は撤去します。
【詳細】
第32回定期検査中の敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉:定格電気出力35.7万キロワット)は、2009年5月23日10時58分、旧廃棄物処理建屋地下1階のフィルタースラッジ貯蔵タンク室内(立入制限区域)で漏えいを示す警報が発報しました。
運転員が現場を確認したところ、タンク室内の床面全域に深さ約2.5cm程度の水溜りが確認され、床面の排水口に目詰まりが認められました。水溜りの量は約0.7m3で、放射能量は約6.0×104Bqであり、周辺環境への影響はありませんでした。
調査の結果、同建屋2階において、機器洗浄用に準備していた"ろ過水(約1.1m3:放射能を含まない)"に濁りがあったため、2階床面の排水口に排水していました。2階床面からの排水管は、地下1階のタンク室内にある床面の排水口を経由して、床ドレンサンプに回収される経路となっていました。
タンク室内の排水口を調査した結果、U字状シール部で金属腐食物が詰まっており、また、タンク室内を通っていた排水配管の接続部の一部で腐食孔が確認されました。
(2009年6月3日発表済)
配管が詰まった原因は、排水配管接続部の内面が著しく腐食しており、排水配管の接続部に発生した錆が下流側の排水配管に流れ、当該部に堆積したことによるものと推定しました。
また、今回の漏えいについては、排水口から床ドレンサンプまでの排水経路の途中に、当該タンク室内の排水口を経由していることや、その排水経路を把握していなかったこと、排水配管が立入制限区域にあり点検が行われていなかったことにも原因がありました。
なお、当該タンク室内の排水配管の腐食原因は、配管接続部のシール材からはみ出た繊維状の間隙材※2に排水が浸透し、配管接続部内が湿潤状態となっていたため、腐食が発生し進行したものと推定しました。
対策として、当該建屋2階の床面にある排水口から床ドレンサンプに直接導く排水経路に変更するとともに当該タンク室内の排水配管を撤去します。
また、今後、各建屋の排水経路を確認し、計画的に、腐食発生が懸念される箇所(配管接続部など)を取り替えるとともに、排水口から床ドレンサンプまでの途中に別の排水口を経由するなどの経路については変更を行います。
- ※1
- 原子炉1次冷却材は、その一部をフィルター等で浄化しており、それらの浄化設備から使用済のフィルター助材(セルロース等)やスラッジ(固形状の不溶物)の放射性廃棄物が発生するため、これらを貯蔵するタンク。
- ※2
- 排水配管を繋いでいる箇所はシール材を注入し隙間からの排水の漏れを防止しており、シール材を注入する際に配管の隙間を均一にするために使用したと推定される。
このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報※)等を掲載しています。
なお、定期検査中に発生した事象につきましては、「定期検査状況」に掲載しています。
- ※
- 保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。