2009年度敦賀発電所からのお知らせ
敦賀発電所1号機
床ドレン受タンク出口循環配管からのにじみについて
【概要】
7月31日、敦賀発電所1号機新廃棄物処理建屋地下1階の床面で、水の滴下跡(約2cm四方)と、近傍の床ドレン受タンク※1出口循環配管※2(2箇所)で水のにじみ等を確認しました。なお、床面の滴下跡部で放射能は検出されませんでした。
調査の結果、出口循環配管溶接部内面で局所的に腐食が発生し貫通していました。
原因は、配管内面の溶接形状不良部にスラッジ(鉄錆等の固形物)が堆積し、そこに床ドレン受タンク水に含まれている塩化物イオンが濃縮し、局所的に腐食を発生させたと推定されました。
対策として、当該配管は新しいものに取り替え、配管内にスラッジが堆積しないよう定期的な循環運転や洗浄を行うこととしました。また、今後、当該系統の配管をより耐食性に優れた材料等に変更する計画です。
なお、本事象による周辺環境への影響はありません。
【詳細】
敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉:定格電気出力35.7万キロワット)は、第32回定期検査中の2009年7月31日0時50分頃、床ドレン受タンク※1の廃液を廃液濃縮器※3へ移送する作業を行っており、新廃棄物処理建屋地下1階の現場を確認していた運転員が、床面に水の滴下跡(約2cm四方)を発見し、近傍にある床ドレン受タンクの出口循環配管※2(ステンレス製)の溶接部2箇所に水のにじみとにじみ跡を確認しました。
直ちに移送作業を中止し、当該系統の隔離・水抜きを行い水のにじみは停止しました。
なお、床面の滴下跡の放射能測定では検出限界未満であり、本事象による周辺環境への影響はありませんでした。
- ※1
- 1号機の原子炉建屋、タービン建屋、旧廃棄物処理建屋、新廃棄物処理建屋の清掃の際に発生する排水や建屋内に流入する湧水等を回収し、廃液濃縮器にて処理するために廃液を供給するタンク。
- ※2
- 水質測定等の際に、床ドレン受タンク内の廃液を循環させるために使用する配管。
- ※3
- 放射能を含んだ廃液を濃縮し、濃縮廃液と放射能を含まない蒸留水に分ける機器。
[調査結果]
配管でにじみが認められた2箇所は、いずれもタンクから廃液濃縮器に移送する配管から分岐している出口循環配管の入口溶接部であり、当該部を切断し詳細観察をしました。
その結果、配管溶接部の底面部で、内面から外面に向けて局所的な腐食が発生・進展し、貫通していることが確認されました。また、腐食した内面の溶接部には形状不良(くぼみ、たれこみ)が認められ、その箇所で床ドレン受タンク水(以下「タンク水」という。)に含まれるスラッジ(鉄錆等の固形物)の堆積と、高濃度の塩化物イオン(建屋地下の湧水に含まれる)が確認されました。
当該配管は、2006年9月に発生した漏えい事象の水平展開のため、2008年4月に交換しています。また、出口循環配管はタンク水の水質測定のため、タンク水を循環させる配管ですが、近年水質測定の箇所をタンクの上流側に変更したため、当該配管はほとんど使用されていませんでした。
[原因]
今回配管が局所的に腐食した原因は、配管内の形状不良部に堆積したスラッジ内に、タンク水に含まれる塩化物イオンが濃縮したためと推定しました。特に、腐食した部分は、タンク水の移送配管との分岐部に近く、かつ当該配管の使用頻度が低かったことにより、タンク水を移送する際に、その水に含まれるスラッジが堆積し、塩化物イオンが濃縮しやすかったものと推測しました。
なお、内面の溶接形状不良は、当該配管の交換作業で現地溶接した箇所であり、溶接箇所の周囲が配管や弁で狭隘な場所であったことが原因と推定しました。
[対策]
にじみが認められた配管を新しいものに取り替えました。その際、現地溶接を行う箇所は、内面の形状不良が生じないよう干渉物が少なく、溶接がしやすい箇所で行いました。
また、使用頻度の低い配管におけるスラッジの堆積を防止するため、定期的に循環運転および洗浄を実施します。
今後、当該系統の配管をより耐食性に優れた材料等に変更する計画です。
このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報※)等を掲載しています。
なお、定期検査中に発生した事象につきましては、「定期検査状況」に掲載しています。
- ※
- 保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。