2009年度敦賀発電所からのお知らせ
敦賀発電所2号機における運転上の制限の逸脱及び復帰について
(原子炉格納容器エアロック内側扉からの漏えい)
【概要】
運転中の敦賀発電所2号機において、2010年2月9日に行った原子炉格納容器エアロック※1の漏えい率検査(1回/6ヶ月)で、エアロックの内側扉より空気の漏れが認められたことから、保安規定の運転上の制限※2を満足していないと判断しました。
(2010年2月10日ホームページお知らせ済み)
調査の結果、検査ではエアロック内を加圧するため、内側扉が開かないように治具で固定しており、今回はその治具でエアロックが傷つかないように挟んだゴムシートが厚く、弾力性があったため、加圧によりシートがつぶれ、内側扉とエアロック本体との間に隙間ができたことにより、空気漏れが発生したものと推定しました。
2月12日に、厚みが薄く弾力性の少ないシートを用いて漏えい率検査を行い、異常のないことを確認したため、同日21時30分、保安規定の運転上の制限内に復帰しました。
【詳細】
敦賀発電所2号機(加圧水型軽水炉:定格電気出力116万キロワット)は、定格熱出力一定運転中の2010年2月9日、原子炉格納容器エアロック※1の漏えい率検査(以下「漏えい率検査」という。)を行うため、エアロック内(内側扉と外側扉の間)を空気で加圧したところ、圧力の低下が認められました。
現場の状況を確認した結果、内側扉より空気の漏れが確認されたことから、エアロックが閉止できない状態だったと判断し、2月9日20時00分、敦賀発電所原子炉施設保安規定(以下「保安規定」という。)に定める運転上の制限※2を満足していないと判断しました。
なお、2月9日20時23分までに外側扉に漏れが無いことを確認するとともにエアロックを施錠し、通行禁止の措置を実施しました。
今回の事象において、プラントの運転状態および周辺環境への影響はありません.。
(2010年2月10日ホームページお知らせ済み)
内側扉およびエアロック本体と今回の漏えい率検査の実施状況について調査しました。
内側扉およびエアロック本体の点検を行なった結果、設備に異常は認められませんでした。
漏えい率検査(1回/6ヶ月)では、エアロック内を加圧した時に内側扉が開かないようにするため、内側扉に専用の治具を取り付け、エアロック本体に固定しており、この治具とエアロック本体側の固定箇所との間には、本体が傷つくのを防止するため、ゴムシートを挟んでいます。
今回の検査においては、厚く弾力性のあるゴムシート(約2.5~8mm)を使用していたため、エアロック内の加圧により内側扉を開こうとする力が治具固定部にかかった際に、シートがつぶれて内側扉がごくわずかエアロック外側に押され、エアロック本体との間に隙間ができたため、空気漏れが発生したものと推定しました。
このため、2月12日に、厚みが薄く(1mm以下)弾力性の少ないシートを用いて漏えい率検査を行い、異常のないことを確認し、同日21時30分に保安規定の運転上の制限内に復帰しました。
今後、漏えい率検査においては厚みが薄く弾力性の少ないシートを用いることとしました。
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- 原子炉格納容器エアロック:原子炉格納容器への人の出入口として設けているもの。内側と外側の二重扉式の気密構造で、両方の扉が同時に開かないようインターロックが設けられており、地下と1階の2箇所に設置されています。
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- 保安規定の運転上の制限 :多重の安全機能を確保するため、予備も含めて動作可能な機器(ポンプ等)の必要台数が定められているものです。一時的にこれを満足しない状態が発生すると、運転上の制限からの逸脱を宣言し、予め定められた時間内に修理等を行うことが求められます。なお、定められた時間内に当該機器を復旧させるか、または出力低下などの予め定められた措置を講ずれば、保安規定違反に該当するものではありません。
添付資料:原子炉格納容器エアロック点検状況図
このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報※)等を掲載しています。
なお、定期検査中に発生した事象につきましては、「定期検査状況」に掲載しています。
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- 保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。