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2010年度敦賀発電所からのお知らせ

敦賀発電所2号機
A非常用ディーゼル発電機の自動起動について

【概要】

敦賀2号機は、今定期検査(第17回)において、原子炉保護系の信号を処理する盤(A,B)※1の取替工事を実施しています。取替が完了した盤に模擬信号を入れ、原子炉保護系の信号などを監視している計算機に信号が伝達されることを確認する試験をしたところ、5月4日14時32分、待機中のA非常用ディーゼル発電機が自動起動しました。

原因は、試験の手順を定める際に、模擬信号が非常用ディーゼル発電機に流れないことを回路図で確認していなかったため、当該試験時に模擬信号が非常用ディーゼル発電機に流れ、自動起動したものと推定しました。

対策として、試験や作業の手順を定める際は、回路図に色塗りをして回路の状態を確認することを社内規程に反映します。また、今回の事象について、発電所員および関係する協力会社社員に周知します。

なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。

 

【詳細】

敦賀発電所2号機(加圧水型軽水炉:定格電気出力116.0万キロワット)は第17回定期検査中(2010年2月21日から開始)であり、今定期検査にて原子炉保護系の信号を処理する盤(原子炉保護系盤;A,B)※1の取替工事を実施しています。A系統の取替作業が完了したことから、当該盤に模擬信号(主蒸気圧力低)を入れ、原子炉保護系などを監視している計算機(プロセス計算機※2)に信号が伝達されることを確認する試験を実施したところ、2010年5月4日14時32分、2台ある非常用ディーゼル発電機のうち、A系統に繋がっている待機中のA非常用ディーゼル発電機が自動起動しました。

自動起動したAディーゼル発電機については、運転状態に異常のないことを確認した後、14時59分に手動停止しました。

なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。

 

1.調査結果

1)事象発生時の状況

  • 当該試験時の回路の状態は、試験の手順を定めた工事要領書どおり(安全保護系シーケンス盤※3のモード切替スイッチ※4「定検」位置)となっていましたが、この状態では、ほとんどの機器類に対しての模擬信号は流れなくなるものの、今回自動起動した非常用ディーゼル発電機への模擬信号は流れる回路となっていることがわかりました。
  • 当該工事の担当者(当社社員)に聞き取り調査を実施したところ、当該工事要領書は、担当者と現場作業責任者(協力会社社員)が回路の状況を検討し、作成していました。
  • その際、担当者と現場作業責任者は、当該モード切替スイッチを「定検」位置にした場合、全ての機器への模擬信号が流れないものと思い込んでいたため、回路図での確認をしておらず、非常用ディーゼル発電機に模擬信号が流れることに気付きませんでした。

2.推定原因

原因は、安全保護系シーケンス盤のモード切替スイッチを「定検」位置にすることで、非常用ディーゼル発電機に模擬信号が流れないと思い込んでいたため、当該工事要領書を作成する際に回路図で模擬信号の流れを確認していなかったことにより、当該試験時に模擬信号が非常用ディーゼル発電機に流れ、自動起動したものと推定しました。

3.対策

  • 今後、模擬信号を入力し、回路の確認を行う場合は、作業の計画段階で、模擬信号の伝達範囲を色塗りにより明確にし、模擬信号入力による機器への影響がないことを確認するよう社内規程で定めます。
  • また、デジタル制御装置の回路を隔離・復旧する際は、作動信号の流れを確認できる保守ツール※5にて作動信号の隔離状態を確実に確認します。
  • 今回の事象について、発電所員および関連する協力会社社員に周知します。

 

※1
1次冷却材系統の圧力・温度などを監視し、プラントの異常を検出して、原子炉トリップ遮断器および工学的安全施設を動作させるための作動信号を送る装置。
※2
プラントの状態(パラメータ)を中央制御室のモニタ画面に表示する監視装置。
※3
原子炉保護系計器ラック等の作動信号を受け、工学的安全施設作動信号等の論理回路を形成し、工学的安全施設や非常用ディーゼル発電機等に作動信号を出力するための制御盤。
※4
プラントの状態に応じて「通常」(通常運転)・「燃取」(燃料取替)・「定検」(定期検査)を選択し、その状態の時に必要な機能のロジック作動信号以外をブロックするスイッチ。
※5
デジタル制御装置のソフトウェアロジックを可視化しており、パソコンで確認や模擬入力するための装置。
添付資料:非常用ディーゼル発電機自動起動状況図

添付資料:非常用ディーゼル発電機自動起動状況図

(2010年5月11日掲載)

 

このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報)等を掲載しています。
なお、定期検査中に発生した事象につきましては、「定期検査状況」に掲載しています。

保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。

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