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2010年度敦賀発電所からのお知らせ

敦賀発電所2号機
原子炉格納容器内の弁からの漏えいの原因と対策について

【概要】

第17回定期検査中の4月5日15時10分頃、敦賀2号機の原子炉格納容器内で点検のため弁体を取り外して開放していた弁から水が漏れ、床面に約3m×約1mの範囲に広がっていることを発見しました。15時30分頃に漏れが停止していることを確認しました。その後、直ちに当該弁に弁体を組み込み、漏れが発生しないよう措置しました。床面に漏れた水の量は約3リットル(放射能量は約2.4×105Bq)で、滴下した水の飛沫が発見者の両足首の着衣に付着しましたが、測定の結果、身体に汚染はありませんでした。これまでの調査では、当該系統を隔離し水抜きを行う作業の完了を確認せずに、当該弁の弁体を取り外して開放していました。

今後、原因を詳細に調査します。
なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。

(2010年4月9日お知らせ済)

漏れが発生した原因は、作業を実施する保修室の担当者が当該系統の隔離・水抜きが完了していない状態で作業開始の許可をしていたことに加え、許可を受けた関係会社の現場作業責任者が作業開始前に隔離・水抜き完了の確認を行っていなかったことから、弁の分解作業に伴い、系統内の水が溢れたものと推定しました。

また、許可を出した担当者は、主担当が急遽休むことになったため業務代行者となった副担当者で、作業の進捗状況を十分に把握しておらず、主担当からの引継ぎもありませんでした。このことから、分解作業が継続して行われているものと思い込み、作業開始を許可していました。

対策として、業務を引継ぐ場合、作業進捗状況等の必要な情報を確実に伝達することを徹底するとともに、作業進捗状況等の情報共有を図るために作業開始前に担当者間で打合せを行います。 また、現場作業責任者が隔離・水抜きが完了していることを確認し、作業現場に掲示する作業指示書にサインしないと作業に着手できないこととしました。

 

【詳細】

敦賀発電所2号機(加圧水型軽水炉:定格電気出力116.0万キロワット)は第17回定期検査中(2010年2月21日から開始)のところ、4月5日15時10分頃、原子炉格納容器地下2階(管理区域)で耐震補強工事を行っていた作業員が水の滴下を確認しました。

水の滴下は、1次系弁点検の一環として、分解し、弁体を取り外していた格納容器冷却材ドレン系統の弁から漏れた水が、当該弁の廻りと下部に設置していた養生シート内に溜まった後、溢れ出たもので、発見者から連絡を受けた当該弁の点検担当作業員が現場に到着した15時30分頃には漏れは停止していました。その後、直ちに当該弁に弁体を組み込み、漏れが発生しないよう措置しました。

滴下した水は、床面の約3m×約1mの範囲に広がり、その量は約3リットル(放射能量は約 2.4×105Bq)でした。滴下した水の飛沫が発見者の両足首の着衣に付着しましたが、測定の結果、身体に汚染はありませんでした。

なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。

運転中は1次冷却材ポンプの軸シール部からの排水を、定期検査中は1次冷却材系統の水抜きに伴う排水等を格納容器冷却材ドレンタンクへ回収し、冷却材貯蔵タンク等に移送する系統。

(2010年4月9日掲載)

1.調査結果

(1)作業にあたっての基本ルール

作業の実施にあたっては、漏えい防止や作業安全の観点から、保修室の担当者(以下「担当者」という。)は、弁の操作や系統状態の管理を担当する発電室と打合せを行ない、隔離・水抜き等の内容を決定し、発電室に依頼します。
発電室は依頼に基づき、隔離・水抜き作業等の操作を行った後、担当者に作業の開始を許可します。
担当者は、発電室からの許可を受け、現場作業責任者に対して作業開始の許可を出します。
許可を受けた現場作業責任者は、系統の隔離・水抜きが実施されていることを確認した上で、作業員に作業開始の指示を出します。

(2)調査結果

①作業前日までの状況

当該作業には、保修室の弁担当の2名(正および副担当)と弁駆動装置担当の1名が携わっており、発電室との連絡・調整は弁の正担当と駆動装置担当の2名が行っていました。

この2名は、弁の分解点検作業が5日から開始する予定となっており、作業開始前には、発電室からの作業許可を受け、隔離・水抜きが完了していることを確認する必要があることを認識していましたが、弁本体の副担当者は作業の進捗状況を把握していませんでした。

②作業当日(5日)の状況

作業当日、正担当は急遽休むことになり、副担当が業務を代行することとなりましたが、当日実施する作業に関する引継ぎはありませんでした。副担当は、現場作業責任者が提出した当日の作業日報に作業予定として分解点検と記載されていたことから、分解点検は既に継続して行われているものと思い込み、発電室の作業許可を得ずに、関係会社の現場作業責任者に対し作業開始の許可をしていました。

また、許可を受けた現場作業責任者は、現場に出向いて、隔離・水抜きが完了していることを確認せずに、作業員に作業着手を指示しました。午前中に行われた分解作業では、通常よりも多い残留水(約25リットル)が回収されました。

2.推定原因

保修室の担当者間で作業進捗状況等の情報が共有されておらず、業務代行にあたっての引継ぎも行われていなかったことから、当日、業務代行者となった副担当は、分解点検作業が既に継続して行われているものと思い込み、系統の隔離・水抜きが行われる前に作業許可を出していたことに加え、現場作業責任者が作業開始前に隔離・水抜き完了の確認を行わなかったことから、弁の分解作業に伴い、系統内の水が漏れたものと推定しました。

3.対策

今回の事象を踏まえ、以下の対策を行います。

  • 業務を引継ぐ場合には、作業進捗状況等の必要な情報を確実に伝達することを徹底します。
  • 作業開始前に保修室の担当者間で打合せを行い、作業進捗状況等について情報共有を図ります。
  • 現場作業責任者が、隔離・水抜きが完了していることを確認し、作業現場に掲示する作業指示書にサインしないと作業に着手できないこととしました。
  • 作業日報に作業進捗状況を具体的に記載するとともに、保修室の担当者は現場作業責任者からその内容を聞き取り確認します。
  • 作業中に通常と異なる状態を確認した場合、速やかに保修室の担当者に連絡することを徹底します。

また、当社及び関係会社では、安全に作業を行うためのルールの重要性や基本ルール遵守
(作業開始前の隔離・水抜き完了確認など)の徹底を再教育しました。

添付資料:原子炉格納容器内の弁からの漏えいの原因と対策

(2010年5月11日掲載)

 

このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報)等を掲載しています。
なお、定期検査中に発生した事象につきましては、「定期検査状況」に掲載しています。

保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。

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