2011年度敦賀発電所からのお知らせ
敦賀発電所2号機 排気筒ガスモニタの一時的な指示値の上昇について
(5月8日排気筒ガスモニタ上昇の原因と対策)
概要
敦賀2号機は、原子炉停止中の5月8日に、排気筒ガスモニタ※1の指示値が僅かに上昇していることを確認しました。この時、放射性ガスを化学体積制御タンク※2からガス減衰タンクへ排出する作業を行っており、同作業を中断し、排気筒ガスモニタの指示値は通常値に戻りました。
(2011年5月9日、21日、6月3日お知らせ済み)
5月8日の排気筒ガスモニタの指示値上昇の原因を調査したところ、水素再結合装置※3の反応器※4フランジ3箇所と水素再結合装置周りの配管溶接部等33箇所に微小な漏えいを確認しました。
当該反応器フランジはOリングを用いてシールしていますが、使用していたOリングにはシール性の良い銀メッキ加工が施されておらず、フランジ面のシールが不十分であったことから漏えいが発生し、排気筒ガスモニタの指示値が上昇したものと推定しました。
また、水素再結合装置周りの漏えいが確認された配管溶接部の詳細調査をした結果、配管内面には塩素が付着していること、溶接部近傍に腐食および割れが発生し、貫通していることを確認しました。
この腐食については、反応器に内包されている触媒から溶出、蓄積したと思われる塩素と漏えいがあった反応器フランジから取り込まれた空気中の酸素とが反応して発生し、腐食を起点として応力腐食割れが発生したものと推定しました。
対策として、反応器フランジ部に使用しているOリングについて、シール性能にすぐれた銀メッキ加工を施したものに取り替えます。また、水素再結合装置周りの配管について、新しい配管に取り替えます。
詳細
5月8日の排気筒ガスモニタ上昇原因の調査において、水素再結合装置周りの配管溶接部等に複数の微小な漏えい箇所を確認しました。
(2011年5月9日、21日、6月3日お知らせ済み)
水素再結合装置は、予熱器、反応器、冷却器および湿分分離器とそれらを接続する配管から構成されており、漏えい確認をしたところ、反応器入口配管フラン ジ2箇所および反応器フランジ、予熱器上流配管(ステンレス製)の溶接部に1箇所、湿分分離器出口側配管・弁(ステンレス製)の溶接部に31箇所および湿 分分離器水位計配管(ステンレス製)の溶接部1箇所に漏えいがあることを確認しました。
漏えいが確認された反応器フランジを分解点検したところ、当該フランジのシールのために使用されている金属製のOリングについて、2004年に実施した 分解点検後の組み立てにおいて、シール性能にすぐれている銀メッキを施した金属性Oリングが使用されていませんでした。
このため、フランジ面のシールが不十分であったことから水素再結合装置の運転において漏えいが発生し、排気筒ガスモニタの指示値が上昇したものと推定しました。
漏えいが確認された配管溶接部について、詳細観察を実施したところ、配管内面の溶接部近傍に腐食が確認され、腐食箇所を起点として割れが発生し、貫通し ていることを確認しました。腐食部の破面調査では塩素に起因する応力腐食割れ特有の羽毛状模様が確認され、配管内面に、反応器の触媒から溶出し、蓄積した と思われる塩素を確認しました。
配管溶接部の腐食の原因は、水素再結合装置停止時に、当該装置の温度低下に伴い装置内が負圧となったことで漏えいが発生した反応器のフランジから取り込 まれた空気中の酸素と反応器の触媒から溶出した塩素とが反応し、配管内面から応力腐食割れが発生したものと推定しました。
対策として、水素再結合装置フランジについて、シール性能にすぐれた銀メッキ加工を施した金属製のOリングに取り替えます。
また、漏えいが確認された、水素再結合装置周りの配管について、新しい配管に取り替えます。
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- 1:運転に伴って発生する放射性ガスを監視するモニタ。原子炉格納容器および原子炉建屋、原子炉補助建屋からの排気を監視している。
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- 2:化学体積制御系の設備で、原子炉容器や配管内の1次冷却材の量を調整するためのタンク。
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- 3:水素再結合装置は、化学体積制御タンクの気相部に溜まった水素ガスを触媒に通すことで酸素と反応させ、水にする装置。
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- 4:水素と酸素を反応させ、水にする触媒が入った容器。
(2011年7月12日記載)
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- 保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。