2012年度敦賀発電所からのお知らせ
敦賀発電所2号機 管理区域内での協力会社作業員の負傷の原因と対策について
概要
平成24年8月21日9時30分頃、敦賀発電所2号機原子炉補助建屋地下1階(管理区域)において、建屋津波対策に係る水密扉設置工事の水密扉枠(以下「扉枠」という。)の取り付け作業中に、扉枠が倒れ、扉枠の下部にて作業していた作業員1名が扉枠と床の間に挟まれて負傷しました。
扉枠が倒れてきた原因は、転倒防止用の布製ベルトを取り外してくさびで扉枠を仮固定した状態で作業を行い、作業中にくさびがずれたためと推定しました。
対策として、扉枠の転倒防止措置としてくさびを使用しないこととします。
また、転倒防止対策がない状態で作業を行ったことを踏まえ、当社および協力会社に対して労働安全対策の重要性を再認識させるための教育を行います。
詳細
敦賀発電所2号機は、第18回定期検査中(平成23年8月29日開始)の平成24年8月21日9時30分頃、2号機の原子炉補助建屋地下1階とサービス建屋地下1階の連絡通路(管理区域)において、建屋津波対策に係る水密扉設置工事における水密扉枠(高さ:約2.1m、幅:約1.9m、重量:約510kg)の取り付け作業中に扉枠が倒れ作業員1名が負傷しました。
このため、公設消防の救急車で敦賀市内の病院へ搬送し、診察の結果、入院加療が必要と診断されました。
なお、負傷者の身体汚染および被ばくはありません。
(平成24年8月21日 お知らせ済)
当日の作業状況を調査した結果、扉枠の転倒防止のため扉枠上部に布製ベルトを巻き、近傍の配管サポートからチェーンブロックで引っ張って固定した状態で、扉枠下方の床との隙間(左右2箇所)にくさびを打ち込んで、高さや傾きを調整した後、扉枠上方の天井との隙間(左右2箇所)にくさびを打って扉枠を仮固定する作業を行う予定でした。
実際の作業では、扉枠右側の調整作業を終えた後、左側の調整作業に移ったが、布製ベルトが干渉して高さを合わせることができなかった。
このため、作業員は布製ベルトを取り外し、左側下方のくさびを打ち込んだところ、仮固定していた右側上方のくさびがずれて扉枠が倒れ、近くにいた別の作業員が扉枠との間に挟まれました。
布製ベルトを取り外すにあたって、作業員はチェーンブロックを緩めても倒れないことから取り外しても問題ないと考えました。また、作業責任者や作業班長は、作業員の間で布製ベルトを取り外すことを相談しているのを聞いていましたが、取り外しは問題ないと考えていました。
さらに、工事要領書の作成から当日の作業に至るまでの状況を調査した結果、以下のことがわかりました。
・協力会社は、工事要領書の作成にあたって、これまでの工事経験等を基にした作業内容と危険の度合を定めた基準から、扉枠の転倒は重大災害につながらないとして、転倒防止対策を検討しませんでした。
・当社工事監理員は、工事要領書の審査の際、扉枠の転倒防止策の記載がないことに気付き協力会社に確認したところ、チェーンブロックで固定するとの回答を得たが、安全上重要な事項であるにも関わらず、検討状況の報告や工事要領書への反映を求めませんでした。
・協力会社の作業責任者は、当日の作業前の打合せにおいて、安全に関する事項として、扉枠転倒の危険性を作業員に周知しませんでした。また、作業前の危険予知活動でも、作業員の活発な発言を引き出しておらず、扉枠の転倒の危険は抽出されませんでした。
これらのことから、扉枠が倒れてきた原因は、転倒防止用の布製ベルトを取り外してくさびで扉枠を仮固定した状態で設置作業を行い、作業中にくさびがずれたためと推定されました。
また、転倒防止対策がない状態で、作業を行った原因については、協力会社が、転倒防止対策の重要性を十分に認識しておらず、作業員への周知も行われなかったことに加え、当社工事監理員が協力会社に対し、転倒防止対策の重要性を十分指導できていなかったことによるものと推定しました。
対策として、転倒防止措置にくさびを使用しないこととし、社内規程に反映します。
また、当社は、協力会社が工事要領書を作成する際に用いる作業内容と危険の度合を定めた基準が、労働安全上必要な対策を検討するのに十分なものとなっているかを定期的に確認します。
当社工事監理に対しては、今回の事例を用いて、工事要領書審査時に協力会社の安全対策の検討状況を十分に確認し、工事要領書に安全対策を明確に記載することの重要性について教育を行います。
協力会社に対しては、作業前の打合せや危険予知活動の重要性を再認職させるための教育を行うとともに、当社は協力会社が行う作業前打合せや危険予知活動の実施状況を確認します。
なお、当社は、他の工事についても今回講じる対策を徹底し、安全最優先の発電所運営に努めてまいります。
(2012年9月7日記載)
このページでは、機器の軽度な故障等で、法令の定めでは国への報告の必要がなく、
トラブルとされていない情報(保全品質情報※)等を掲載しています。
なお、定期検査中に発生した事象につきましては、「定期検査状況」に掲載しています。
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- 保全品質情報:国へ報告する必要のない軽微な事象であるが、設備の信頼性を向上させる観点から電力各社はもとより、
産官学で情報共有化することが有益な情報です。