原子力発電のしくみ
核分裂と発電のしくみ
全ての物質は「原子」からできていて、その中心に「原子核」があります。ウラン235などの特定な物質※1の原子核に中性子が当たると、原子核が2つに割れ※2、2~3個の中性子と一緒にエネルギーを出します。
これを「核分裂」といいます。
- ※1
- : ウラン以外に、トリウムやプルトニウムなども核分裂を起こします。
- ※2
- : 原子核が割れてできた物質を核分裂生成物といいます。まれに、原子核が3つに割れることもあります。
原子の構造
原子は一つの原子核と複数の電子により構成されます。原子核は陽子と中性子で構成され、通常、原子はプラスの電荷をもつ陽子とマイナスの電荷をもつ電子が同数存在し、原子全体として電荷をもたない安定な状態を保ちます。なお、同じ原子でも原子核に含まれる中性子の数が異なるものがあり、これを同位体と呼びます。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
ウランの核分裂
ウラン235は、中性子を吸収し核分裂することによって熱エネルギーを出します。ウラン238は、核分裂を起こしにくいですが、中性子を吸収することによって核分裂するプルトニウム239に変わります。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
火力発電と原子力発電の違い
水力、火力、原子力などいろいろな発電所がありますが、実は、発電機を回して電気をつくるという「原理」は基本的には同じです。そのうち、火力と原子力は、水を温めて作った蒸気で、タービンと呼ばれる大きな羽車を回して、発電機を動かしています。
火力発電は、石炭や石油、ガスなどをボイラーで燃やして発生する熱を利用して、水を温めています。原子力発電は、原子炉の中でウラン燃料の核分裂を起こし、それによって発生した熱エネルギーを利用して、水を温めています。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018