原子力発電の安全性
定期的な検査と健全性評価
原子力発電所の定期検査の目的
原子力発電所では、安全な発電を続けるために、約1年に1回、発電を止めて「定期検査」が行われます。
原子力発電所の安全の確保は、発電所を建設し運転する電力会社が直接の責任を負っています。原子力発電所の定期検査は、発電所の安全・安定運転を目的として、設備・機器の健全性の確認、機能の維持、信頼性の向上を図るために行っています。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
設備の健全性評価の方法
定期検査で安全上重要な設備にひびや磨耗などが見つかった場合には、その設備を使い続けると一定期間後(例えば5年)にひびや磨耗がどの位進むかを予測し、安全性への影響(設備の安全性)を評価します。
その結果、安全基準を満たしていることが確認できれば監視を強化するなどしてその設備を使い続け、満たすことができなければ補修または設備を取り替えます。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
原子力発電所の安全規制
原子力安全規制の体制
2012年9月、政府から独立して原子力発電の安全規制を担う「原子力規制委員会」と事務局の「原子力規制庁」が発足しました。
※1 核物質が平和目的だけに利用され、核兵器等に転用されないことを担保するために行われる検認活動のこと
※2 いわゆる3条委員会(国家行政組織法3条第2項に規程される委員会)とは、上級機関(例えば、設置する府
省の大臣)からの指揮監督を受けず、独立して権限を行使することが補償されている合議制の機関のこと
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
原子力安全規制体制
これまで各関係行政機関が担っていた原子力の規制の事務、核物質等を守るための事務(核セキュリティ)を原子力規制委員会に一元化されました。
原子力規制委員会は、放射線モニタリング、放射性同位元素の使用等の規制も担っています。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
定期検査制度の概要
2003年10月、電気事業方法が改正され、従来、事業者が自主点検として実施していた点検の一部が「定期事業者検査」として制度化されました。「定期安全管理審査」は、この事業者が行う検査の実施体制や検査方法等を、原子力規制委員会が、審査・評定します。
出典:「原子力・エネルギー」図面集2015
原子力発電所の新規制基準
福島第一原子力発電所の事故の教訓から原子力発電所の従来の基準が見直され、平成25年7月8日に新しい規制基準が施行されました。
新規制基準では、従来の基準がより厳しく見直されるとともに、新たな要求として、設計基準を超えた重大事故(シビアアクシデント)を
防ぐ対策と緩和する対策が要求されています。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018
原子力発電所の定期安全レビューと高経年化対策
事業者は、高経年化対策として、運転開始30年を経過する前に技術評価を行い、その後の10年間に実施すべき追加保全策を抽出した長期保守管理方針を策定し、国の認可後、この方針に基づく保全計画を作成します。技術評価と長期保守管理方針は、最新の技術的知見を取り入れながら、10年ごとに見直されます。
出典:「原子力・エネルギー図面集」2018