原子力防災対策
原子力災害とは
原子力災害とは、原子力施設の事故により、放射性物質が放出され、原子力施設の周辺地域の住民や環境などに直接または間接的に被害を与えることです。
放射線を体に受けることを「被ばく」といいます。被ばくには体の外から放射線を受ける「外部被ばく」と、食べ物や空気などから体の中に取り込んだ放射性物質によって放射線を受ける「内部被ばく」があります。
また、放射性物質が衣服や体につくことを「汚染」といい、これも外部被ばくや内部被ばくにつながります。原子力発電所から放射性物質が外に漏れた場合、放射性物質が衣服や皮膚についたり、食べ物に付着して体内に取り込まれることで被ばくにつながります。
原子力災害時には、普段から食べ物や空気などの自然放射線により放射線を受けるだけでなく、原子力施設からの放射性物質によって被ばくする可能性もあり、このような「被ばく」から身を守る対応が必要とされます。
地震や風水害、火災などの一般災害と異なり、原子力災害は、人間の五感では感じることができない放射性物質や放射線に関して対策を講じる必要があります。
原子力緊急時の防災体制
原子力発電所には、放射性物質が発電所の外部に放出されないように閉じ込める機能などの安全対策があり、直ちに放射性物質が環境に放出されることが無いような設備があるほか、初期の段階でトラブルを発見して適切な対応をとり、住民の方々に影響を与える事態となる可能性を低くするように各種対策を行っています。また、定められた値以上の放射性物質が放出される異常事象になった場合には、原子力事業者は直ちに国や自治体へ通報を行うよう義務付けられています。
更に、「原子力災害対策特別措置法」に定める大きな事象が発生した場合は、内閣総理大臣により直ちに「原子力緊急事態宣言」が行われ、国・自治体・事業者及び関係機関は原子力施設立地地点の近くにある「オフサイトセンター」において一体となって対策を協議し、対応を行います。
原子力災害対策重点区域
原子力災害時に影響が及ぶ可能性がある区域には、重点的に原子力災害特有の対策を講じておく必要があるため、原子力災害対策重点区域を定めています。原子力災害対策指針では、原子力施設からの距離に応じて2種類の区域が定められています。
区域 (通称:PAZ):放射性物質が発電所の外
に出る前の段階から、 避難できるように準備す
る区域
② 原子力発電所からの距離がおおむね5~30km
圏内の区域 (通称:UPZ):発電所の状況や放
射線の量など、事態の推移を 見守りながら対応
する区域
出典:原子力文化財団 原子力防災シミュレーション
原子力災害の避難行動
原子力災害が発生したら直ちに避難を開始するのではなく、国や地方自治体から指示を受けてから避難を開始します。自家用車で避難する場合は、ご自身で避難退域時検査場所へ移動してください。 徒歩などで避難する場合は、集合場所へ歩いて向かい、そこから自治体が用意するバスで避難退域時検査場所へ移動します。
詳細は、お住まいの自治体の情報を確認してください。
原子力災害発生時の支援活動
原子力防災に係る知識・技能の向上のための研修万が一原子力災害が発生した場合においては、地域の皆様の避難行動等に対して、自治体の方々と連携をして事業者としての支援に取り組むため、当社社員を対象とした原子力防災に係る知識・技能の向上のための研修に取り組んでいます。
具体的には、地域の皆様の避難に係る協力のための福祉車両の運転・技能講習や避難退域時検査に係る対応を想定した実務研修をそれぞれ実施しています。
避難退域時検査における協力体制
原子力事業者は、万が一原子力災害が発生した場合に備えて事業者間協力協定を締結しています。 災害収束活動で不足する放射線防護資機材等の物的な支援を実施するとともに、環境放射線モニタリングや周辺地域の汚染検査等への人的・物的な支援を行います。