防潮堤(鋼製防護壁)工事について
東海第二発電所の防潮堤工事のうち、取水口上部については、鋼管杭が打てないことから、他のエリアとは異なる「地中連続壁工法」を用いています。
これは、取水口の上部に設置する防潮堤(鋼製防護壁)を2本の柱(基礎)で支える構造です。鋼製防護壁を支える2本の柱は、15.5mの正方形の角柱で、深さ約60mの岩盤に固定します。(図1)
鋼製防護壁及び基礎の設置イメージ(図1)
鋼製防護壁基礎の構築手順については、まず、柱の外枠を作るために、地中連続壁部の溝を深さ約60mの岩盤まで掘削機で掘り、そこに太い鉄筋を密に組み上げたもの(「鉄筋かご」約800トン)を何段も挿入し、コンクリートを入れて柱の外枠を一体化させます。(図2②、③)
柱の外枠を構築後、内側(中実部)を底まで掘り(図2④)、内側にも太い鉄筋を密に組み上げ、コンクリートを流し込み、外枠と一体化した鉄筋コンクリートの柱(基礎)を構築します。(図2⑤)。
鋼製防護壁基礎構築手順(図2)
鋼製防護壁基礎構築イメージ(図3)
防潮堤(鋼製防護壁)で確認された不具合事象について
鋼製防護壁南基礎の地中連続壁部の構築を終え(図2③)、中実部の掘削(図2④)を行っていたところ、2023年6月に、地中連続壁部の壁面でコンクリートの未充填(鉄筋の露出)と一部の鉄筋の変形等を確認したため、工事を中断し、調査を行いました。
南基礎の不具合事象(図4)
調査状況
調査の結果、鋼製防護壁南基礎のコンクリート未充填は、地中連続壁部の剛結継手部※1に集中しており、鉄筋の変形は、一部の鉄筋にのみ確認しました。(表1及び図5)
なお、2023年8月に北基礎においても類似する事象が確認され、2024年3月現在、調査を継続しています。
※1:地中連続壁に生じる力を連続的に伝達するため、隣接するブロック(エレメント)同士の鉄筋を
重複させる区間。
鋼製防護壁南基礎調査結果イメージ(図5)
不具合事象の確認状況(表1)

<参考>鋼製防護壁北基礎の鉄筋の高止まりの状況
鋼製防護壁北基礎の地中連続壁部において、鉄筋が設計の深さから70cm高い位置に止まる事象(高止まり)が確認されたため、当該工事を中断し、影響評価を行いました。
その結果、鉄筋が高止まりした箇所については、基礎は岩着していること、また、強度評価を実施し、必要な強度を有していることを確認しており、当社は、現時点において鋼製防護壁北基礎に影響はないと考えています。(図6)
鋼製防護壁北基礎の鉄筋の高止まりのイメージ(図6)
原因・対策
調査結果を踏まえ、鋼製防護壁南基礎のコンクリート未充填及び一部の鉄筋の変形の原因は、地中連続壁部の溝壁のはらみ出し(せり出し)及びはらみ出した土砂の崩落であること、堆積した土砂等を撤去するための治具等が鉄筋へ接触したこと及び後行で入れる「鉄筋かご」と、先行で入れた「鉄筋かご」との接触であることが判明しました。(図7、図8及び表2)
【コンクリート未充填】
はらみ出しのイメージ(図7)
【鉄筋の変形等】
鉄筋の変形イメージ(図8)
現時点において、当社としては施工予定の中実部の鉄筋を増やすことにより、鋼製防護壁が当初計画していた強度を十分に保つことが出来ると評価しています。 (図9及び表2)
このため、当社は、2024年2月7日に、この評価を記載した設計及び工事計画認可申請の補正書を原子力規制委員会に提出しました。
鋼製防護壁南基礎調査結果に基づく対策(概要)(図9)
原因・対策(表2)
【参考】
▶鋼製防護壁工事において確認された事象について(当社お知らせ一覧)・2023年10月16日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 1月12日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 2月 9日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 3月 8日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 4月12日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 5月16日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 6月13日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 7月11日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 8月 8日 東海・東海第二発電所の近況について
・2024年 9月12日 東海・東海第二発電所の近況について
▶本事象に関する原子力規制庁との面談・ヒアリング
・2023年10月16日(面談)
東海第二発電所の防潮堤(鋼製防護壁)の南基礎地中連続壁部で確認された事象に関する面談
資料:東海第二発電所の防潮堤(鋼製防護壁)の南基礎地中連続壁部で確認された事象について
・2024年2月13日(新規制基準適合性審査に関する事業者ヒアリング)
東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、防潮堤の設計変更に係るもの
資料:防潮堤(鋼製防護壁)の設計変更
・2024年3月1日(面談)
東海第二発電所防潮堤(鋼製防護壁)設計変更に係る説明スケジュールの事業者案について
資料:東海第二発電所防潮堤(鋼製防護壁)設計変更に係るご説明スケジュール(案)
・2024年3月5日(新規制基準適合性審査に関する事業者ヒアリング)
東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、防潮堤の設計変更に係るもの
資料1:東海第二発電所設計及び工事計画に係る説明資料防潮堤(鋼製防護壁)の設計変更
資料2:東海第二発電所防潮堤(鋼製防護壁)に係る既許可・既認可からの変更の有無
・2024年4月16日(面談)
新規制基準適合性審査(東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、
防潮堤の設計変更に係るもの)の今後の進め方に関する面談
資料:東海第二発電所防潮堤(鋼製防護壁)の設計変更に係る説明スケジュール
・2024年5月7日(新規制基準適合性審査に関する事業者ヒアリング)
東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、防潮堤の設計変更に係るもの
資料1:地中連続壁の不具合事象の全容とその対策(1/2)
資料1:地中連続壁の不具合事象の全容とその対策(2/2)
資料2:地中連続壁の不具合事象の全容とその対策に係る追加データ資料
資料3:防潮堤(鋼製防護壁)の設計変更に係る説明資料
資料4:補足説明資料27 に係る追加データ資料
資料5:防潮堤(鋼製防護壁)の耐震計算書に関する補足説明
資料6:防潮堤(鋼製防護壁)の強度計算書に係る補足説明
・2024年5月21日(新規制基準適合性審査に関する事業者ヒアリング)
東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、防潮堤の設計変更に係るもの
資料1:設計及び工事計画に係る説明資料 コメント回答(地中連続壁の不具合事象の全容)(1/2)
資料1:設計及び工事計画に係る説明資料 コメント回答(地中連続壁の不具合事象の全容)(2/2)
資料2:参考資料
資料3:東海第二発電所 防潮堤の不具合事象に係るコメント
資料4:No.18コメント回答【補足-27】
・2024年5月22日(面談)
資料:東海第二設工認(防潮堤の設計変更)に関する今後の説明スケジュールについて
・2024年6月4日(新規制基準適合性審査に関する事業者ヒアリング)
東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、防潮堤の設計変更に係るもの
資料1:設計及び工事計画に係る説明資料 コメント回答(地中連続壁の不具合事象の全容)
資料2:参考資料
・2024年6月28日(面談)
東海第二設工認(防潮堤の設計変更)に関する第1259回審査会合を踏まえた今後の進め方について
・2024年8月7日(新規制基準適合性審査に関する事業者ヒアリング)
東海第二発電所の設計及び工事の計画の変更認可申請のうち、防潮堤の設計変更に係るもの
資料:設計及び工事計画に係る説明資料 コメント回答(防潮堤(鋼製防護壁)の不具合事象)
▶本事象に関する審査状況
・2024年3月26日 東海第二発電所の新規制基準適合性に係る審査について(第1240回審査会合)
・2024年6月18日 東海第二発電所の新規制基準適合性に係る審査について(第1259回審査会合)
・2024年8月29日 東海第二発電所の新規制基準適合性に係る審査について(第1280回審査会合)